少しすると、湖には特有の深い霧が立ち込めて、周囲を白く染めて、青い月はぼんやりと、霞がかかってみえた。
その時、ふと横に人影が見えた。
右隣を見ると、亡くなったはずの香里が立って一緒に月を眺めているではないかー
「香里、本当に香里なのか?」
目を凝らすと、あの出会った頃のように、立っていたのだ、それに、背中には大きな白い羽をつけていた。
「そうよ〜私よ〜」
そう微笑んでいる・・・
俺は目を疑い、両手で目をこすってみるが、確かに白い羽をつけた香里だった。
「一樹はいつまで喪に服してるつもり〜」
とおかしそうに笑っていた。
「看取ると約束したのに、そばにいられなかったから、だからせめて別れを言いたかったんだ。」
すると、何もかも知り尽くしたように、
「見てたのよ、一樹が立派に卒業生代表を務めたことも、たくさんの人が一樹を思っている姿も、死んだから見られるはずのない卒業式を上から見ていたの〜」
そう言うのだ、
「ウソだろ・・・」
「ウソなんかじゃないわよ〜皆を静めたことも知ってるものー岬ちゃんから聞いていたけど、本当に人気者なのね〜まるで学園アイドルじゃない〜すごい人気ね予想以上だったなー」
そう香里は懐かしそうに言っていた。
俺が絶句して、言葉を失うと、
「ここの本当の秘密を教えるわね〜私も死んでから知ったことがたくさんあるのよ。そしてね、あんまり一樹が沈んでるから、見ていられなくなったのよー」
香里がそういった。
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