もっと声が聞きたくて2

里咲 夏美  2006-11-03投稿
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軽やかなピアノの旋律に会わせて。ハゲ気象予報士が8時台のニュースキャスターとともに、テレビ画面に現れた。関東地方限定の気象予報だ。ハゲ気象予報士は仏頂面だったが時々みせる笑顔が国営放送にはあっているのだろう。説明も淡々としていて、面白みも何もなかった。明日の土曜日の東京は曇り、降水確率40%、雨は一応あがるという事だった。9時が近付いて来る。晃が硬い靴底を鳴らし、菜々美の所にやってくる。天気予報を見ながら。菜々美のパンティの一部分はじゅくれ切っていた。もう、オナニーはいらない。晃のの太い一物を菜々美のバァギナに叩き込むだけだ。晃と会う前にパンティを履き替えなければならなかったが、身体の力が抜けて動けない。その時、携帯電話がけたたましく鳴った。着信音はショパンの茶色の小瓶だった。菜々美は急いで携帯の入ったバックを手元に引き寄せて、急いで取り出した。相手は職場からだった。
「もしもし。」相手は職場の誰かわからないので、慎重に対応した。聞き覚えのない男の声が帰って来た。
「太田警部かね?」男は抑揚のない声で事務的に話をし始めた。
「今、キミが住んでいる葛飾区、ポイントK-14は国家公安委員会の監視下に時間20:25から入った。太田警部は警察庁の命によりポイントG-19に移動せよ。21:00に国家公安委員が太田警部自宅を訪問予定との情報を警察庁公安部が掴んだ。急ぎ目標ポイントG-19に移動するべし。いいかな?。以後の連絡は明日の予定通り.警察庁公安部の会議室で執り行う。急ぎ準備されよ。」そう言って携帯が切れた。菜々美は怒りとともに絶望を感じた。この部屋は絶対大丈夫だからと公安部から御墨付きをもらっていた。ここに住んでもう、3年になる。今日の晃との時間もパーだ。菜々美は携帯を思いきり地面に叩き付けた。そうして、立ち上がると既に何年前から準備していた。小さなボストンバックを抱えて、菜々美は諦観の様相を呈しながら。マンションを出た。



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