プラチナリング(Side 涼介)最終話

和華  2006-11-03投稿
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ある日突然、別れはやってきた。

それは優香里の出産が始まった日。俺は優香里が産気付いた時から、自分の意識が遠のき始めたのを感じていた。

やがて、時間が経つに連れ、段々と意識が薄れていった。
そして… 。

「オギャーッ!」

俺たちの子がこの世に生を受けた。
その時には、俺はもうほとんど消えかけていた。

でも気力(?)でなんとこの世にか留まっていた。
例え無駄なことだとしても、なんとか優香里に別れを告げるために。

やがて、無事出産を終えた優香里が意識を取り戻すと、机に置いてある紙に、震える手で、泣きながら何かを書いた。

俺はそれをかろうじて読み、読みあげて、涙を流した。

その瞬間俺は、意識体から風になった。

…きっと時間がきたのだ。

だから風になった俺は、天に舞い上がる刹那、優香里の病室の窓ガラスを叩き、「約束するよ」と囁いた。もちろん優香里には聞こえないけれど。

そうして…風となった俺は、どこまでも高く舞い上がり、舞い上がるなかで、残っていた意識も完全になくなった。

…やがて風が舞い上がるのをやめた。


そして俺は……消えた。




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