たまには違う道を通って帰ろうか。
ふと思った学校帰り、拓は川辺に何か光るものを見つけた。
それは小さな瓶にコルクで栓をしたもので、中に何か紙切れの様な物が入っている。
きっと願い事を書いて流すというやつだ。
中身を見てやれという気持ちが、その瓶を開けさせた。
たすけて
たった一言のそれは、拓に言い知れぬ感情をおこさせた。
上流へ走り出してまもなく、川を流れる小瓶は2つ3つと増えていき、やがて水面全体を覆うほどになっていた。
なにかの悪戯だろうか。そう思い始めた時、入江に不思議な場所を見つけてた。
何かから護るように生い茂った木々。水面には葉が落ち、周りをひと周りして旅立っていく。
---小さな白骨の周りを。ここは周りからは見つかり難い。この子はどのくらいここにいたのだろう。
拓はゆったりと手を開いた。小瓶が握られていた手の中には、かわりに落ち葉が一枚握られていたのだ。
落ち葉が川の水面を埋め尽くした。小瓶は跡形もなく消えていた。