帝国兵士長「なぜだ…なぜ…我が国の王を女神の塔の人柱にしたのだ!?連合騎士団!!」
剣の切っ先を喉に突き付けられてもなお、帝国兵士長は眉一つ動かさなかった。
アイン「なに!?」
アインは動揺を隠せずにはいられなかった。
自分の所在している連合騎士団こそが正義だと信じていたからだった。
帝国兵士長「わかるか?少年、王を失い統率力のない国がどうなるか!我が国はもう…滅んでいるのだ、王を亡くした国など、ただの抜け殻にすぎん!だから、我々から王を奪った、貴様ら連合騎士団が憎いのだよ!!!!」
そう言って兵士長はアインの剣を掴んだ。
ブシュっと切れて、剣に血が付き、手の内が鮮血に染まる。
アイン「っな!?」
足を払われ、アインはすっ転んだ。
兵士長はアインの剣を取り上げ、即座に立ち上がり、剣を振りかざした。
アイン「しまった!」
帝国兵士長「形勢逆転だ、少年よ!」
レグナ「油断するからこうなるのだ!小僧!!」
後方で見ていたレグナは口を大きく開け、兵士長に火炎弾を吐き出そうとしていた。
(殺られる!)
アインは心中で叫んだ。
振りかざした剣がアインの首目掛け、振り下ろされる。
アインは一瞬だけ、時を遅く感じた。
スローモーションのように。
しかし、着実に相手の剣はゆっくりだが、動いていた。
ビュン。
風を斬る音が聞こえた。
(僕は…死んだの…か?)
アインは目を開け、兵士長を見上げた。
兵士長はその場で硬直し、微動だにしない。
手から剣が落ち、カラン。と鳴った。
アインは落ちた剣を取り、座り込んだ姿勢から後ろに向かって地面を蹴った。
素早く武器を構える。
そして、兵士長の異変に気付いた。
兵士長は目を見開き、口から血吐き出していた。
よく見ると左胸から棒みたいなものが生えていた。
棒の先端は鋭利な刃が付いていて「槍」が兵士長の体を貫通し、その心臓を貫いていた。
ゴフッと血を吐き、その場に兵士長は倒れた。すでに絶命していた。
アイン「一体なにが…?」
訳が分からなかったが…すぐに答えは出た。
…「危なかったわね。」
兵士長が倒れた先には見慣れた顔があった。
アイン「エリス!!」
続