現実と夢の狭間で…本編?

満真  2006-11-05投稿
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勤めが終わると、私は屋敷に戻り直ぐに出掛けた。『さよ』と『ちよ』に会いに行く為だ。この事は屋敷の奉公人、妻、母には知れない様に気を遣った。
私が長屋に行くと、平助はちよを負ぶり外へ出掛けて行く。暫くは長屋に戻って来ない。私はその時にさよを抱き通じ合った。
私の子を孕む前のさよと、子を産んださよとでは違っていた。私の腕の中に居るさよは『女』であり、艶やかで色香が漂っていた。

そんな幸せは続かなかった…私が通っている所を妻が嗅ぎ回っている様だった。仕方なく、勤めが終わると屋敷に戻り大人しくする様にした。

持病を患っていた母が床に着き、私は年老いた母の看病をした。そして、母は私が通っている所を突き止めた事を書き記した文を渡しながら言った。
「龍之介…愚かな母を許しておくれ…この文はお前以外には、見せてはなりません…」
母はそう言うと、息を引き取った。喪にふしていたが、さよとちよが心配でならなかった。

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