いいかげん腹が減って、どうにかしなきゃなあと考えていたとき、倉庫のドアが開いて乗組員が入ってきた。
すばやく元居た場所に戻って身を隠したが、今回はうまく行かなかった。まあいいか、いつまでも断食していられるわけじゃなし。
この辺が発見される頃合というものかもしれない。
「そこに居るのはわかっています。おとなしく出てきてください」
この貨物船の唯一の乗組員は女だったのか。かわいい声だった。
女が船長の貨物船か、僕の星ではめったに無いことだけど、他の星では大して珍しくも無いのかもしれない。
「わかった、撃たないって約束するなら出て行くよ」
腰だめに銃を構えている女に向かって物陰から叫んだが、その銃の先端が微かに震えているのを見ると、やっぱり出て行くのは止めとこうかと不安になってきた。
「あなたがおとなしく出てくるなら撃ちませんから……」
語尾に優柔不断な性格も出ている。本当に彼女がこの船の船長なのか?
なんか納得できないけど、僕は両手を上げて積み上げられたダンボールの上から飛び降りた。
足元がぐらりときて、もう少しで転んでしまうところだった。
着地した木箱の蓋が緩んでいたのだ。
その木箱から降りながら中を見ると、その箱はもぬけのからだった。
空箱なんか積荷にあったかな? だいたい意味ないじゃないか? 重量が増えるだけだ。
「どうやら人間みたいですね」
そう言う彼女は流行りの金髪に加えて、少しでも屈めば後ろからお尻が見えそうな超ミニスカートをはいている、かなりセックスアピールの強い女と言うか少女だった。
おとなしそうな性格のくせにすごくエッチな格好をしている。なんとも妙な女だ。
「僕をなんだと思ったのさ」
両手を上げて彼女の前に立つ。
「ロボットかも知れないって思ってました。整備場の間抜けなロボットが、退船するタイミングを逃して降りれなくなった事が前に一度あったって聞いていたから」
「ふうん、でも人間の格好をしたロボットということもあるかもしれないよ」
僕は自分の立場も忘れてついからかってしまう。