君に逢いたい 3

 2006-01-02投稿
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「え?何だよ突然。」
「はっきり言って。まだ私のこと好き?」
電話口で和人が息をついているのが聞こえる。
「あぁ…まだ好きだよ。」
「………。」
「俺にこんなこと言わせてどうするんだよ。」
今度は私が息をつきました。
「明日…お昼くらいに車で迎えに来て。家の近くの公園で待ってる。一日付き合って。お願い。」
ピッ!
私は和人に有無を言わさず電話を切りました。それでも私のイライラはまだおさまりません。それを加速させるのは、ディスプレイに点滅する彼のナンバー。いっそのこと電源を切ってしまえばいいのですが、あえて呼び出しているのにとらず「無視」しているんだっていうことを、彼に解らせたかったのです。

翌日の昼。和人は一方的な約束にも関わらず、ちゃんと来てくれました。
「おはよ。ごめんね急に呼び出して。」
「何もなかったから別にいいけど、なんだよお前らしくもない。」
覗き込む彼を横目に、私はまっすぐ前を見据えていました。呼び出した理由を考えたら、まともに顔なんて見れなかったのです。
「案内する通りに運転してね。」
「あ…あぁ。」
彼は怪訝な顔をしていたと思いますが、とにかく発進してくれました。

しばらく行くと、大きな建物群が集まる一角につきました。鬱蒼と茂った森のようにしていますが、その壁はピンクやブルーなどの派手な色ばかりです。
「お…おい、唯。」彼は声が裏返り気味です。
「こんなとこに用あるのか?」
「そうよ。…ここに入って。」
私のサラッと言った言葉に彼は目を見開きました。
「は?ここラブホだぜ?何考えてんだよおま……。」
私は運転中にも関わらず彼の唇を奪いました。
「お願い…。」
私が言うと、彼も覚悟が決まったようで、中に入ってくれました。
部屋についてシャワーを先に浴びました。彼も、もうその気になってくれていて、代わって浴び始めました。携帯はいつものようにサイレント。電源は切りません。ですが今日はいつもと様子は違いました。彼の着信は一件もありません。
「あの人の日だもんね。今日は。」
皮肉を込めて携帯につぶやきました。そしてため息をつこうとした瞬間、いつの間にか後ろにいた彼に抱き込まれました。
「何があったか知らないけど…いいんだな?」
鋭い眼光が怖かったのですが、もうどうにでもなれと思っていた私は、そのまま大人しくベッドに連れて行かれました。


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