驚いたことに、その最初の持ち主とされる王子の肖像画は俺そっくりだった。しかも、香里の描いたあのシルバーブルーの光に包まれた肖像画に似ているのだ、前世もきっと香里と恋人だったのだろう。
「これは俺の前世なのか?」
まだ物語には続きがあり、この最初の王子は、当時疫病が流行り多くの人々が命を落としていた。そのため、劣悪だった衛生環境改善を呼びかけて、改善に努め、医師たちにふんだんな資金と、研究費を与えて、疫病撲滅をうながした。そのため、疫病は撲滅し変わりに、その王国は偉大なる発展をしたと言う。
また気づくと香里が隣に立っていた。
「そうよ、それが一樹の前世なのよ、あなたは私に誓ったわよね、ホスピスを作って、在宅で亡くなりたい人の自由の確保と、心の病の人にカウンセリングをほどこして癒しを与えたいと・・・それが、今世のあなたの使命なのよ、このクロスは神の
使者なの、羽ばたきなさいそして与えつくす人生を生きなさいといってるのよ。」
「そうだったのか・・・」
しばし、俺はその場に立ちつくして、もう一度サファイアにスタンドの光を当てると、確かに綺麗な十字に輝いて見えた。