その日は気分よく、朝食の支度をして、朝の7時過ぎからキヨさんと、岬が来たのでもてなした。
「一樹、おはよう、なんかいいことあった?」
と岬が不思議そうに覗き込んで、
「いいや別に、心配かけてごめんな、岬、もう俺は大丈夫だよ、明日は入学式だなー頑張ろうと思ってさ〜」
何がなんだかわからないと言う感じに岬は、きょとんとしていたが、気をとりなおして
「よかった、少しは元気を取り戻したみたいで〜心配したのよ〜後追い自殺でもしそうなくらい落ち込んでたからー」
と安心した顔をしている。
「そんなにひどかったかな?」
「ひどかったわよー食事には手をつけないし、寝てばかりで、ため息ついては窓の外眺めてるんだもの、ねーキヨさん」
と岬がふると
「ええ、心配しましたよーでも元気になられてよかったです。」
とキヨさんは、特製野菜スープを手際よく作ってくれて出してくれた。
なんだか温かなスープが体の隅々までいきわたる気がして、生き返ったような気分になった。
夕べだってほとんど寝てないのに、体は羽が生えた様に軽かった。
その日は、久しぶりに自宅に戻って、明日の入学式の支度をしたのだった。
しかし、昨夜の秘密の扉の話だけは、誰にも話さないでおこうと心に決めていた。
いや、話してはいけない気がしていたのだった。