桜が散り始めた頃 居ても立っても居られなかった
新学期が始まり中学二年生になった淳一は、身長は低く痩せて、とても中学生には見えない。
IQ180…
両親の期待を背負い名門私立中学校を受験、見事合格してから一年が経つ。一度見聞きした事は、ほぼ記憶してしまう天才児。
友達はいたが、そんな淳一にとって教室の中はいつも退屈な場所だった。窓の外は春の強い風が吹いていた。
「淳君…?学校はつまらない?」やさしく話し掛けて来たのは担任の猪狩だった。
猪狩は地元の大学で教職課程を修業後、教員免許を習得、この春赴任した新米教師。猪狩にとって淳一はあつかいづらい生徒だった。
桜の木に 花びらはなくなった
つづく