紫音と龍一は、舞殿へと戻った。すると舞殿では、酔った男二人が暴れていた。神宮の者が押さえようとしたが、酔って暴れている男達にかなわず、困り果てていた。舞殿の回りには野次馬が大勢いて、不安そうに眺める者もいたが、大半は、男達を呷っていた。紫音は、舞殿の舞台へと躍り出た。男達は紫音にまったく気付かない。男達に近づいた。「何があって喧嘩してるのか、わかんないけど。喧嘩は両成敗だよ！」紫音の拳骨が右の男に、蹴が左の男に見事に入った。男達はよろめき倒れた。
「舞殿の舞台はね、舞や楽を神仏に奉納するところ！喧嘩は奉納物にはならないんだよ！」
男達が体勢を立て直し、標的を互いに紫音へと替え、二人がかりで紫音に襲い掛かった。が、紫音は、男達の攻撃をそよ風のようにかわした。拳は互いの顔面に見事に入った。
「息が合っててすごいけど、格好悪いよ？」野次馬から笑い声があがった。酔った男達の顔がさらに赤くなった
「風邪引いたの？だったら寝なくちゃだめだよ」最後にもう一回。紫音の攻撃が入り、男達は気を失った。「さて、皆様のお口直しに、舞います♪」
紫音が舞始めると、静けさが訪れた。誰もがまた、紫音の舞に見惚れた…
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