天使のすむ湖(最終章)3岬編

雪美  2006-11-07投稿
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 あれから15年という歳月が過ぎた、ほんの青春時代の一年半から二年近くの時が、今でも彼を天使のすむ湖に連れて行ってしまう。

あの湖の土地と建物全てが、一樹の物になり、今でも夏休みや長期の休日などには、別荘として利用している。

しかし、寂しいと思うのは、香里さんの命日には、必ず一樹は一人で泊まって供養して、思い出に浸っていることである。私には入り込む隙間さえないのだから・・・
香里さんはずるいと思う、確かに私は妻になり、一樹と共に歩むことが出来るのは、幸せなことだとは思う。でも、香里さんは亡くなり、年老いることもなく美しいままなのだから・・・それでも香里さんを憎いとは思わない、寂しいときもあるけれど、自分のことよりも常に人のことを気遣い続けた優しい人・・・私には真似できない、さまざまな才能も・・・
私は私の、一樹のことを支える事しか出来ない、不器用に家庭を守り、家族の幸せを願うこと、でも今はそれでいいのだと思っている。
誰かが誰かに変わることなんて出来ない、その人らしい生き方をして、私なりの一樹への愛情を注げばそれでいいのだと、思えるようになったのだ。嫉妬は何も生まない、傷つけることしか出来ないのだから・・・・
命日の今日もきっと、あの湖で香里さんの思い出に浸りながら、一樹は眠るのだろう。このときばかりは、いつも邪魔しないように、娘と外食などをして気晴らしするようにしている。
いつも私のことだけを見ていなくてもいいけど、帰る場所は自宅しかないのだから。



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