今日は15年目の香里の命日だった。
毎年命日には、俺一人で、この湖の別荘に泊まるようにしている。ひたすらこの日だけは、思い出に浸り、今の自分のことを香里に報告する意味もあるから・・・
岬は本当は寂しいかもしれないが、愚痴も言わずにいってらっしゃい、と送り出してくれる。優しくてかわいい妻の岬、あの頃よりもずっとしっかりした母になり、娘も健やかに育っている。仕事も夢の大半を叶えているし、順調だった。
俺にとって、上から引き上げたのが香里ならば、基礎の部分を地道に支え続けてくれたのが岬だった。傷つけたときもある、それでも二人への思いを断ち切れないまま、二人に責任持ちますと断言して貫いてきた。それでいいかどうかなんて、わからないけれど、二人には感謝の気持ちでいっぱいだった。もちろん日常の中で、岬には感謝の言葉を伝えている。
今日だけは、香里に感謝の思いを込めた供養の日なのだ。そのことをわかっているキヨさんは、命日の前には、別荘を掃除したり食料をある程度用意してくれている。