駅のホームで私はまだ来ぬ汽車を待っていた
ざわめきと混沌と無秩序を入り混ぜた独特のあの場所で
ラベンダーの香水の臭い、ぺちゃくちゃ人の声、
死人のような顔をしてため息ばかりついているサラリーマン
私はこれからまた新たな旅に出る
行き先は決めていない
とりあえず西へ行ってみようと思う
駅のベンチに腰かけ、辺りを見渡す
自分と同じ汽車を待っている人々は
新聞を読んでいたり、話をしていたり至ってマイペースだ
どうやらこの国では時間通りに列車が来ないことが普通らしい
誰もイライラしていない
私も彼らに習い読みかけの本をひもといた