私の父は犬が大好きである。犬を見ると50になった今でも目を輝かせて息子の私に「かわいいね!」と言う。そして時々、昔飼っていた犬達の話をするこれはその犬の一匹ハナの話しである。
名前ハナ、雑種、メス。
ハナは風呂の大好きな犬だ。風呂に入れてもらえるとわかるとはしゃぎ、お湯の気持ちよさにまたはしゃぐ。機嫌がよくなると鼻歌を歌い出す。そのくらいハナは風呂が好きなのだ、その風呂好きのハナがある事件をきっかけに風呂嫌いの犬になったのだ。かれは父親(私の祖父)にいつものように風呂に入れてもらうことになった上機嫌で庭の風呂に入るハナ、ぬるま湯が蛇口から飛び出す。まっていました!と言わんばかりにそのお湯を浴びるハナ。気持ちよくなり鼻歌を歌いだす。体を一通りあらい水を止める父、ハナの鼻歌が突然止まる。そして彼女の顔はみるみる険しくなって行く。そして一吠え「ぎゃーん」とさけび逃げて行く「どうしたんや!ハナ!」さけぶ父、ふと蛇口にめをやる「しまった〜」父、頭を抱える なんと蛇口の水の方だけ止めていたのだ!昔の蛇口はいまよりずっと融通のきかないやつで熱湯はとにかくすさまじい熱湯なのである。彼女はそれをかぶったのだ!「ハナー!」いそいで追いかける父、ハナは庭のすみっこで震えていた「すまんなハナ」父はハナにあやまる。父は火傷をさがす、すると彼女の背中に10円玉ほどのまるい火傷が出来ている彼女は薬を塗られ、ばんそうこうを貼られた。10円ハゲはすぐ治ったが彼女の風呂嫌いと父親嫌いはしばらく治らなかったと言う。