青き空に浮かぶ白い雲  1

mikko  2006-11-09投稿
閲覧数[338] 良い投票[0] 悪い投票[0]


私の名前がまだ「如月葵」だった時、

記憶に残っているのは

大きな衝撃と、キラキラ光るガラスの破片と、



青い、青い、空。だけだった。



一瞬だった。




これまで築いて来た彼らの毎日を


一瞬にして失うのは。



本当に簡単で、本当に残酷だった。











「葵」


呼ばれて、振り返る。

「ん?」


そこには、彼氏の宮崎愁が立っていた。


「何考えてた?」


ちょっと笑って言う。



「…如月葵だったときのことだよ。」


ちょっと笑い返して言う。

如月という言葉を聞いた瞬間、愁の表情が
少し曇った。

「…5年前…か。」

愁がつぶやく。


愁と二人で、
小さなベランダに出る。

外の空気を思いっきり吸い込んで、吐き出した。

空を見上げた。


雲ひとつ無い、快晴。




5年前の今日。




あの日も、こんなにも青い空だった。



少し憎くなるくらい、青い空だった。





























投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 mikko 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ