青き空に浮かぶ白い雲  1

mikko  2006-11-09投稿
閲覧数[325] 良い投票[0] 悪い投票[0]


私の名前がまだ「如月葵」だった時、

記憶に残っているのは

大きな衝撃と、キラキラ光るガラスの破片と、



青い、青い、空。だけだった。



一瞬だった。




これまで築いて来た彼らの毎日を


一瞬にして失うのは。



本当に簡単で、本当に残酷だった。











「葵」


呼ばれて、振り返る。

「ん?」


そこには、彼氏の宮崎愁が立っていた。


「何考えてた?」


ちょっと笑って言う。



「…如月葵だったときのことだよ。」


ちょっと笑い返して言う。

如月という言葉を聞いた瞬間、愁の表情が
少し曇った。

「…5年前…か。」

愁がつぶやく。


愁と二人で、
小さなベランダに出る。

外の空気を思いっきり吸い込んで、吐き出した。

空を見上げた。


雲ひとつ無い、快晴。




5年前の今日。




あの日も、こんなにも青い空だった。



少し憎くなるくらい、青い空だった。



























i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 mikko 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ