ゆうきと、連絡がとれなくなったあたしは、淋しさのあまり、「だいち」の家に通うようになった。大地とは同じクラスで、仲が良かった。大地は、高校三年の夏頃、ヤクザ関係とつるむようになり、学校も退学していた。大地は、一人暮らしをしていた。そんな大地の家に、サボり友達のみなみと、学校に行かず、通うようになっていた。あたしらは、「第3の家」と名付けるようになった。 第3の家は、町中にあって、たまりやすい場所だった。一度、第3の家のドアが留守であいてなく、寒さに我慢できなくなったあたしたちは、ピンを使い、ピッキングをしてみた。が、鍵穴につまり、どうすることもできずににげてきてしまった。そのあと、ドアがこわれ、直すのに5万かかったときき、必死にあやまった。もちろん、弁償しょうとしたが、大地は、笑いながら、いらないよ、と言ってくれた。そんな大地の家で、一人の男に出会った。彼は一つ上の19歳で、「りょう」といった。りょうはおもしろく、かっこよかった。彼のもつ車もまた、ゆうきと同じセルシオだった。りょう君はよく、大地の家にきていた。だから、話すことも多くなっていった。あたしはなんどかりょう君とゆうきの姿を重ねた。ゆうきならよかったのに・・・