夕方がすぎ、俺は、窓から顔を出していた。夕焼けの町並み、自転車を漕ぎ、家に帰る中学生たち、集団で手を繋ぎピカピカのランドセルをからう小学生達、野良犬が一匹ボロボロの首輪を首に付け、脇道を通っている姿、俺は、空を見上げた。
「広いな、とても」
空には無数の星屑が散らばっていて、町に隠れる太陽の光が町にあたり、オレンジ色に染まっている。
「今日も終わりかぁ・・何か・・・刹那いなぁ・・」俺は少し一日の終わりを刹那く感じた。一日は、長いようで短いそれが一日の特権なのだろう。
‐少し眠気が差してきた‐目尻をこすると、綺麗に整頓された布団を床に弾く、[バブンボン]掛け布団と毛布を上から重ねるように弾く、俺は布団に潜りこみ丸々ように寝ることにした。[・・カサ・・カサ・・カサ]
「うるさいなぁ・・何だこの耳に響くような音は、鼠かなそれともゴキブリかな・・それとも・」俺は考えることを止めることにした‐何だか鳥肌が立ちゾッとしている。
「それにしても耳障りだな・・」
しばらくの間、俺は目をつぶっていても、頭は起きている状態でいた。
「外は、どんなかなぁ・・もう随分この状態だしなぁ・・」いろいろな考えがよぎる。幽霊がいるなんてのは・・無いだろう」思いたくもないようなことを考え、またゾクッとする。
「どうしよう・・」その時足下が重くなった。いきなりの出来事に慌てふためく、「うわぁぁぁヤバい・・」ジワジワ‐足先から、スネへスネから太股へ 何かが乗っている。汗が髪から額に垂れる。ツ‐―ッ‐― 「怖い・・怖い・・どうしよう・・」泣きそうになるが、涙は出ない。ただ分かるのが手や足体全体に自由がきかないことだった。だが辛うじて分かるのが、意識自体がしっかりあることだった。