いやに明るい司会者の声が今日はやけに耳につく。
しばらく眺めてから時計をみやるとまだ5分しか経っていない。
軽く嘆息してからTVに集中する・・・が、駄目だ。
くだらないボケになぜか腹が立つ。
いつもは笑ってるのに――隣でキャッキャッと笑いころげるマコが目に浮かんだ。
あぁ俺いつもつられて笑ってたんだ。
マコがあまりにも楽しげに笑うから。
頭を振ってもさっきのマコの顔が離れない。
ほんの一瞬だけ見せた顔。
悲しい―寂しい―捨てられた子犬みたいな―――\r
「あれは言い過ぎたよな・・・。」
口にしたら余計に実感する。
確かにもともと一人暮らしだった俺の部屋にマコが住み着いた。
でも、きっかけがなかったわけじゃない。
2年前にマフラーを巻いて帰ろうとしたマコを引き留めたのは俺だ。
マコの後ろ姿を見るのが嫌で、帰ったあとの静かな部屋が嫌で、ずっと隣にいてほしくて。
「帰るなよ。」
そう言ってマフラーの端を握った。
振り返ったマコの頬はリンゴみたいに赤くて、黙ったまま小さく頷く様は予想外にしおらしくて、今も焼き付いてる。