更に力を入れると、掴んでた男が小さく首を振った。
「み・・見てねぇよ・・女なんて・・・。」
「・・・・・。」
うそをついている様には見えない。
「・・・悪かったな。」
手を離して一言詫びると、座ってた男が口を開いた。
「女探してるなら急いだほうがいいよ。さっき違う奴らもたむろってたから。」
答える余裕もない。俺はまた走り出していた。公園を飛び出て勘を頼りに進む。
真っ暗な道を走っていると不安ばかりがつのる。嫌な想像を振りきるように走り続けると、前方に光が見えた。家から一番近いコンビニ。よく二人で来るから店員もわかるはずだ。
自動ドアをこじあけるように中に入ると、運よくレジに顔見知りの店員がいた。
「なぁ!」
「おぅ、いらっしゃい・・どした?」
俺の様子に気付いて驚く店員に、乱れた息を整えてから聞く。
「マコ・・来なかったか?」
「マコちゃん?あ〜俺今来たばっかなんだよ。」
聞くやいなや走りだそうとした俺の腕を掴み、待ってろと合図する店員。スタッフルームに一度引っ込んでからすぐ出てきた。
「マコちゃんっぽい子来たって。何も買わずに出てあっち歩いてったって。」