一瞬見つめあった後、すっとんきょうな声を上げた。
「アキラァ!?」
パタパタと近付いてくる影の顔が鮮明に闇に浮かぶ。
正真正銘――マコだ。
立ちすくむ俺の腕をさすりながらマコが見上げてくる。
「こんな薄着で何してるの!?風邪ひいちゃうよっ!!」
自分だって薄着じゃねぇか。
軽口を叩こうとしたが、舌がうまくまわらない。
きょとんとしたマコの頬に触れながらやっと声をしぼりだす。
「・・どこ・・行ってたんだよ・・。」
「あ、あのねぇ。」
持っていた袋の中身を見せながら、
「ポケットに500円入ってたからおでん買おうと思って。近くのコンビニだいこん売り切れだったから向こうまで行ってきちゃった。だいこん、アキラ好きでしょ?」
エヘヘと笑う。
いつも通りの無垢で純粋な笑顔。
大好きな笑顔。
「あっ!」
―バサッ―\r
落ちた袋も気に止めず、俺はマコを抱き締めた。
冷えきった小さな体はとても冷たいのに、俺の凍った心を溶かしていく。
「アキラ・・?」
驚くマコに構わず、強く強く抱き締める。
壊して、溶かして、同化してしまいたいくらい愛しい。