彼が倒れている側を偶然人が通りかかった。その人は少し長めの髪を一つにまとめて縛っており、瞳は緋い色をしていた。そして胸もとには瞳の色に似た丸い首飾りをつけていた。学校帰りなのか制服で手には鞄を持っている。学生は倒れている彼に近より声を掛けた。
「おーい。大丈夫か？生きてるか？…まさか…死んでたりはしないよな…」
死んでいるとは思いたくはない…そう思った学生は彼の鼻と口に手をあてて呼吸を確かめた。微かだが呼吸はしているようだ。
「よかった…息はある。」息があることにほっとしたのか学生はその場に座り込んだ。彼をこのままこの場所に置いていくわけにはいなかいと…このままでは確実に死ぬ…そんな考えが学生の頭に浮かんだ。そしてゆっくりと立ち上がると倒れている彼の肩を掴んだ。彼の傷を気遣いながら立たせると背中に背負った。
「死ぬなよ…」
それだけ言うと学生は歩き出した。背中の彼を気遣いながら歩いた。
学生は彼を自分の家に連れていった。学生の家は3LDKマンション。そこで一人暮らしをしている。一人で暮らすには広い家だ。一部屋は学生の寝室。もう一部屋は勉強部屋に使用している。家に着くなり学生は彼を使っていない部屋に運んだ。その部屋にはベットが一つ。あとは小さな机が置いてある部屋だった。彼をベットに寝かせるなり、血がでている所を消毒、そして止血をした。骨折などの怪我はないが、飛び下りたときにコンクリートに頭を強く打ったのか頭からの血の量があきらかに多い。その他には腕や足に切り傷があるものの消毒をしておけば次期に治るものだった。
「速く目を覚ましてくれ…」
そう呟くがその声が彼には届いてはいないのか…彼は静かに眠り続けている。まだ目覚める気配はない。
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