9月14日。少女殺人事件の重要参考人として阿部はマークされていたがとうとう物的証拠が見つかった。落ちていた拳銃から阿部の死体が検出されたのである。そしてついに阿部に逮捕状が出された。
「なぜだ?阿部はなんで?信じられない…」
と水本は言った。
「信じられなくても信じるしかない。失踪するし、指紋は検出されるしあいつしか怪しい奴はいない…」
と今江が返す。
刑事課は阿部が手配された事により重苦しい空気が漂っていた。誰もが疑った。しかし証拠はもう出ている。みんな信じられなくても信じるしかないのだ。
昼休み。署で水本は同期の小林と話していた。もちろん阿部の事である。
「証拠が出ているとは言え信じられない。あいつが殺ったなんて…」と水本が言う。
「俺も聞いた時は何かの間違いだと思った。でも指紋も検出されたし現場も阿部の家から近い所だった。あいつしかいない…」
と小林。
「確かに証拠は決定的だけど不自然な点も多い。被害者の身元が全く分からない事だ。それに一番おかしいのは被害者が銃の弾を持っていた事だ。年頃の女の子が持っていたのは銃の弾なんて絶対に不自然だ。」
「確かに。しかも弾は持っていたのに何故か銃はなかった。不自然な点が多すぎる。にも関わらずその事をろくに調べもせずに逮捕状を出すなんでいくら何でも早過ぎる。」
「確かに。そういえば署長も逮捕状を出した時『質問等は一切受け付けない。』って言ってたけど?」
「何かあるのか?」
そんな話をしていると突然、爆発音 の様な音が署内に響き渡った。
「なぁ水本、何だ今の!?」
「知るか!でも今の音、刑事課の方から聞こえたな。」
二人は急いで刑事課へと向かった。
刑事課には既に大勢の人達が集まっていた。そして奥には課長が頭から血を流して倒れていた。