「うちの親子の言ってたことって…うそじゃねぇか、」
かずや「…ふっ」
思わずかずやが、友人の自虐っぼく言ったところで吹いてしまった。
二人は一気に緊張感がほぐれた。
「なんか急にトイレ行きたくなっちゃった、トイレ、トイレはと」
そういうと友人立ち上がった。
「うあああああ!!!!!!!」
友人の叫び声に驚いたかずやが振り向くと、そこには外に出かけていたはずのおじいさんが、
部屋の入り口の前でかずやたちを見下ろす形で、じーっと睨み続けていた
かずや「…」
かずやは逃げるぞ、そう言いたかった。
が、完全にそれは無理だと悟った。
友人は腰が抜けているからではない。
おじいさんは片手のナタを強く握りしめていたからだ。
ドスッ!
友人めがけナタが振り下ろされた。
友人はもはや動くことすらできない。
もはや死ぬしか道はなかった。
しかし、いやまてかずや考えた。
死ぬしかないのか、ここで終わりか、そう思ったかずやは気づいたら日記をおじいさんに向かって投げていた。
おじいさんはひるんだ。
かずやおじいさんのすぐ脇をするとくぐり抜けた。
友人も後ろからついてくる。急いで玄関に向かう二人。
だが友人の足が止まった。
「かず…や…」
そう言うとかずやは倒れた。背中にはナタが半分までささっていた。
「うあああああ!!!!」
人が死んでいる。
今かずやの前で。
かずやは恐怖した。
おじいさんにではない。
毎日がどこかゲームのような世界の気がしていたからだ。
毎日がただ過ぎていく、生きているという実感もない。
正直かずやはそんな気がしていた。
ところが今目の前の友人を見た瞬間
初めて生きている気がした
こんなときに実感する事ができたのだ。
おじいさんはナタを引き抜こうと友人に近付いた。
わずかだが友人はまだ生きている。
ナタを引き抜いた瞬間に連れ出せばまだ助かるかもしれない。
そう思った
が
かずやが見た光景は無惨にも何度も何度も幾度となく振り下ろされたナタだった
背中の肉は飛び散り、血が辺り一帯を覆っていた。
それでも振り下ろすことを止めない。
かずやは気を失った。