灰色の花が咲き乱れる夢で起きた。
暗いデパ地下での生活…
地球崩壊前の世界を知らない世代の彼には、本物の花など見た事も無く、薄暗い中で絵本を読んだ位の記憶しか無いのだった。
少年と呼ぶには、年月が経ち、18歳の彼は最早、青年に成長していた。
光に、当たらなかった生活の為か、2歳違いの妹、父親、母親の順に、謎の病に掛り。
何でも揃って居る、デパ地下倉庫の、全自動診察装着も、役に絶たず、亡くなってしまい、今は、青年一人がデパ地下での、生活を送って居たのだ。
ある日、エアースクーターと言う、自動充電装着付きの乗り物を見付けた青年は、以前、惑星間シャトルが飛んで行った方角へと、旅立つ計画を立てた。
以前の様に、数年しか持たない缶詰と違い、今は、50年以上持つレトルト食品を積み込んで、彼の家族の思い出を胸に、又、未だ会えぬ、他に助かった人に会える事を夢見て、先ずは、西に向かってエアースクーターを走らせたのだった。
21世紀に大ヒットした、彼の父親の愛読書『仮面屋』と言う一冊の本と共に…