青年にとって始めての旅立ち。
途中で見た川は、核爆発の惨劇が流れているかの様に、黒い水が流れて居た。
一体何処まで行けば、瓦礫の山から抜け出せるのか…
そんな事を考えて、エアースクーターの横に、手のひらサイズのハウスセットを出して拡げた。
青年は一人その中に入り、睡眠を取っていた。
「おい、誰か居るのか。」
驚いて、飛び起きると、そこには一人の男が立って、不思議そうに見ていた。
「日本人ですか?人間ですか?」
青年は、余りの驚きに声が震えた。
「何処から、来たんだい?見慣れ無いよね。」
「はい!東のデパートの地下から来ました。」
「苦労したんだろうな、家族はどうしてる?」
うなだれる青年に優しく声を掛けた。
「一緒においでよ。仲間に紹介するよ。」
男と共に、仲間の元へと、付いて行った。
青年の心は、喜びと期待に満ちた、いいようの無い気持ちだった。西暦2143年4月朝