宇宙戦隊・27

豆宮  2006-11-10投稿
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コウ達はバルア星の人々に、液を破壊した事を伝えた。
「ありがとうございます…どうお礼を致せば良いか…」
老人が何度も頭を下げて言う。
「気にするなよ!当然の事しただけだし」
ちょっと照れくさかったがコウは誇らしげに言った。
「おい!」
あの時の子供がコウのスーツの裾を引いている。
「これ、礼にやるぞ!」
子供はミジハを一本取り出した。他のミジハと違い見事な金色をしている。
「俺の宝物だ!お前の髪と一緒の色だからやる!」
「…ありがとな」
「なぁ、お前達は何者なんだ?ここに来た時にされた説明じゃ俺にはさっぱり分かんないんだ。ルコがどうのこうのって…」
「我々は戦いの神・サリ殿の命を受けてやって来た…」
説明しようとするテシを遮ってコウが言う。
「大した者じゃねぇよ…宇宙の為に戦ってるだけの……ただの宇宙戦隊ってやつだ」
「ふぅん…かっこいいぞ、宇宙戦隊。」
ちょっと照れくさそうに言うと、子供は母親の後ろへと隠れてしまった。
「あら、この子ってば…」
母親はおかしそうに笑った。
『三人共お疲れ!』

タイミング良くサリからの無線が入る。
「おいサリ!肝心なとこで無線途絶えやがって!」
『だってまた大変な事が起きたんだよ〜!』
「まじかよ…じゃ、帰るか!」
「もう行ってしまうのですか?」
「そうですわ、もっとゆっくりなさって」
コウ、テシ、テチは一瞬顔を見合わせて、言う。
「宇宙戦隊は宇宙の平和を守らなきゃいけないんで!」
三人はバトルシップに乗り込んだ。
「また、是非いらしてください」
母親が優しげな笑顔で言う。コウは何となく自分の母親を思い出した。
母親の後ろで子供が小さく手を振っている。コウ達もゆっくり手を振り返し、バトルシップは出発した。遠ざかっていくオレンジ色の星が太陽の様にも見えた。


「…コウ殿」
「何だよテシ」
「さっきは…すまなかったな」
「…おあいこだろ」
二人の会話を後部座席で聞きながら、テチはうたた寝を始めた。



「あいつら、今度はいつ来るかな…」
「分からないわ…今の宇宙は荒れてるもの。」
「…宇宙戦隊なら大丈夫だよね」
母子は空を見上げた。老人が近寄って来て言う。
「女王様、皇太子様。そろそろ戻りましょう」
「分かったわ。行きましょう、坊や」
「うん!」
子供はもう一度空をゆっくりと見つめ、ミジハの茂る道を走り出した。



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