うそつき(10

ちぃ  2006-11-11投稿
閲覧数[410] 良い投票[0] 悪い投票[0]

聞きたい。
でも聞きたくない。
複雑に混ざり合った感情を抱えて私はシュウジの答えを待つ。

「…オレ…」

ペキッとシュウジが缶に力を入れた音がする。

「…わかんねんだよ。正直、自分の気持ちがさ…」

…わかんない?
その答えは私が期待していたものとは違った。

「最初はテキトーに付き合い始めて好きとかなかった。でもさ…やっぱ一緒にいると…なんつーの?情が湧くっつーかさ…」

胸がキリキリする。
痛い。
どうしようもない悔しさとか悲しみとか…嫉妬が私を痛めつける。

「でも…変な話、あいつを抱く気にはなれねぇんだよな。なんでかな…」

そう言ってシュウジが私の方に振り向く。

目と目が合う。

お互い何を言うこともなく、ただ見つめ合い、時計の音だけが響く。

私の胸も高鳴る。

さっきまでの痛みは消えて

この瞬間、何かを期待している自分が居た────。


i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ちぃ 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ