｢ｶﾞﾗｶﾞﾗ､ﾄﾞｻｯ､ﾄﾞﾝ｣
妙な音で目が覚めた｡
翔｢…?何の音だよ…?｣
翔も起きたらしい｡亮｢隣りの部屋だ｡梢かな?｣
しかし物音は次第に変化する｡
｢…ぐしゃ…ﾊﾞｷｯ…ｶﾞﾘｶﾞﾘ……｣
その音はリアルに怖かった｡ただ梢が目を覚ましただけではない｡壁の向こうで何かが起きている｡
翔｢…なんか嫌な予感がするのは俺だけ?｣
亮｢…いや……俺もかなり寒気がする｡｣
翔｢……行ってみるか?｣
亮｢………ああ｡｣
もちろんこの部屋から出てはいけないのを忘れたわけではない｡しかし梢が危険な目にあっているかもしれないのに､大人しくしていられるわけが無い｡俺たちは､武器にモップを持って部屋を出た｡
廊下に光は無く何も見えない｡
亮｢廊下は特に何もなさそうだな｡｣
俺たちはそれを確認すると､梢の部屋の前に立った｡
｢ごり…ぐちゃ……｣
部屋から聞いたよりはっきりと聞こえる｡俺たちは恐る恐るそっと扉を開ける｡
月明りに照らされる影｡おそらく梢だろう｡その下にもう一人｡
亮｢……梢?｣
梢がこちらを向く｡
月に照らされたその顔は血にまみれていた｡
梢｢どうしたの?こんな時間に?｣
亮｢なにやってんだ?｣
俺が震えた声で尋ねる｡
梢｢食事｡｣
食事｡たしかに梢はそう言った｡しかし梢の下にいるのは人間である｡俺たちは混乱した｡
翔｢な､何言ってんだよ｡冗談だろ?｣
梢は首を横に振る｡梢｢冗談なんかじゃない｡…我は獣神なり｡｣
突然､梢は憎しみに満ちた顔で､唸るような低い声でそう言った｡
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