博一『これが廃墟の病院かぁ』
どうみても幽霊屋敷だな。
まぁ幽霊屋敷なんて見たことないが。
と…こんなことをしている場合じゃない、貴博が心配だ。
俺は廃墟の中に入った。
『…ひゃははははひひひゃ!』
入って7歩目中から笑い声が聞こえた。
マジ?幽霊なんてこの世にいたの?
ってそうじゃない!まさか貴博の奴…!
声の聞こえる方に向かった。
男『ふざけてるからだバーカ!ヒヒャ!アハハ!ひひひゃ!』
ホッケーマスクの男…床に横たわる貴博。
その光景を見た瞬間頭に血が上り男に向かって駆け出していた。
男『ヒャーははハはッ!』
博一『ジャンピングエルボー!』
いつまでも甲高い笑い声を四方に響かせている男の後頭部にエルボーをお見舞いしてやった。
鈍い打撃音。
男『ノァ!?』
男が床に膝をついた。
博一『オイ!貴博!生きてっか』
完全に気絶してるよオイ。
男『…ンだよ、テメェか…しかし驚いタゼ…』
男は首を慣らしながら立ち上がる。
博一『俺の渾身の一撃の威力にか?』
ふふふ…プロレスに感化されて、練習したあの技は会得するまでに二十日もかかったからな。
男『チゲェよ!ヨワスギダゼ?不意打ちデコレか…?』
…オイオイオイオイ!
俺今マジでやったぞ?
なんで平気なんだよ!
博一『相変わらず頑丈だなぁ…之秀従兄さん』
この変態、太田之秀(おおた ゆきひで)は、俺の従兄弟だ。
之秀『デ、テメェなんのつもりだ?まさカ…ジャマスンノカ?』
博一『あなたこそ、これじゃあ話が違うでしょ?』
之秀『あ?ナンノことだ?』
博一『惚けんな、貴博には何もしないって話だったろうが』
低く言ったが之秀は動じていない。
之秀『ナァ博一…コイツ殺したらサァ…アイツ、ドンなツラスルカな?』
この薄馬鹿下郎に殺意を抱いた。
殺すだと?ふざけるな。
博一『之秀様!頼みますよ!貴博には手ぇ出さないって約束したでしょ?』
土下座して言い放つ。