シュッ…シュッ…タン…
三人は影となって枝を渡って行く。
(以外に追い付いてきやがるなぁ…)
ユータとエリナは俺を老いかけて来ていた。
「…気付いてる?」
ユータがぽつりと言った。「当たり前じゃない」
サラっと言ってのけるのはエリナ。
「1番最初に刈ったやつが今日1番飯を食える!」
「はぁ?何決めてんの?」「僕は構わないけど」
「うし!!決まり!」
俺の決めた案に二人を無理矢理納得させて、俺は枝を蹴った。
空中でクナイを構えて獲物を狙う。
葉っぱの間から姿を見せたのは…人間サイズで長い腕にひどい猫背の巨大猿。
この森に多く棲息し、毛皮や肉がよく取れるため、格好の獲物だ。
(結構獰猛なんだけどさ)俺の動きに合わせて猿も跳躍する。
「くらえ!!」
俺は印を結び忍び術を放つ。「馬…猿…鳥…戌!!劫炎火の術!」
素早く組んだ両手の平をひろげると、頭サイズのひのたまができた。
両手を一気に突き出して猿を攻撃する。
「ギヤー…ギャギャ」
直撃を避けたものの、炎は猿の体を焦がした。
「へっ!どんなもんだ!!」
枝から落ちる猿を見ながら俺は両腕を上げた。