航宙機動部隊4

まっかつ  2006-11-12投稿
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幹部連が、ほぼ全員集まったのを見届けると、スコットは自らパネルカ―ドを操作した。 30m?30m四方程のスペ―ス内に有るのは、等円状に並べられた、赤い厚手の布張りの椅子と、照明を兼ねた、白光りのする壁際に、カウンタ―型の立ちっぱなしレストスペ―スのみだった。 その壁が真っ暗になって、部屋の中央に3Dホログラムが、浮かび上がった。 最初に姿を見せたのは、美しく輝きながら自転する緑色の惑星。 今、彼等が遊弋しているシルミウム星系の首府に当たる、第二惑星A―10であった。 『こうして占領地を眺めながら、祖国の進退を決めるのも、これで三度目だな』 スコットは、妖しく幾条かの長い白雲を棚引かせては、煌めくその光景をに目をむけながら、感慨に浸る様に言った。 シルミウム星系自体が、二年前までは、独立を謳歌していた共和国だった。 帝国はこの豊かな星系を、大軍で襲撃し、おびただしい犠牲を省みずに、制圧した。 統合宇宙軍が、その集結宙域を、わざわざここに定めたのも、パレオス星系に至る要路に当たると共に、 星系合衆国の参戦に勇気付いたA―10星民が、策動する事なきよう、事前に威圧しておく必要を帝国側が、計算したからであった。 豪気な演出ではあるが、それは同時に、帝国の存立基盤の危うさを、如実に物語ってもいた。 ホログラムはすぐ映り変わり、パレオス星系を中心とする戦況図が出現した。 ここで、幕僚連を代表して、左総長のクレオン=パ―セフォンが、パネルカ―ドを手にして、説明を始めた。 『星系合衆国・連合艦隊は、五0000隻と推定されています。乗組員の総数は、六00〜七00万人と言った所です。今の所、増派の徴候は、看守されてはいませんが、引き続き、厳しい監視が必要です。』 統合宇宙軍は期せずして、成立以来桁違いの「強敵」から、挑戦を受けているのだ。 言い方を変えれば、帝国はそれだけの星間勢力「スペ―スパワ―」として認められた、と言うことになるのかも知れない。



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