自他ともに認める。
あたしは飽きっぽい。
同じケータイなんて3ヶ月も使わないし、
髪だって一通りの色は試した。
引越しなんてそんなに出来ないけど、せめて壁紙はすぐ総入れ替え。
もう、本当に、とにかく。
変化がないなんて生きてない、て思うくらいに。
あたしはすぐに周りを変えたがる。
だけど、一年間、ここにあるものが、一つ。
「・・・お前さぁ、物に愛着ってもんがないわけ?」
あたしの、昨日変えたばっかりのケータイを眺めて。
そんなことを言う。
「ころころころころケータイやら何やら変えて」
呆れ顔で、あたしを見る。
「いいじゃんよ。勝手じゃん」
「お前ほんと、飽きっぽいね」
そう言って、笑う。
すっと、切れ長の目が、細くなる。
細い眉毛が、下がる。
あたしはこの顔を、何度も見たことがある。
・・・だけど。
「ソレがなんか悪いの?」
「いや?」
意地悪く微笑みかける。
その目も。
その、表情も。
何でなのか本当にわかんないんだけど。
「俺に飽きないでくれれば、何だっていいよ」
あなたのこと。
飽きないんだよね。
もっと、もっと、一緒にいたい。
どうしてかな?
わかんないんだけど。
「もうとっくに飽きてるよ」
「・・まじで?」
そうやって、あせった顔。
笑った顔。
怒った顔。
一個一個全部あたしの宝物なの。
飽きない。
手放せない。
もっともっと、あたしに見せて。
「嘘。一年間も一緒にいるんだから、信じてよ」
彼の手を握る。
この温もりも。
感じたことがあって。
温かい。
確かめる。
どんなにどんなに周りを変えても。
たった一個変わらないものがあれば。
あたしはあたしでいられるよね。
あなたがずっと、傍にいるなら。
「まぁ分かってたけどね」
「うわ」
「お前に俺は必要だからね」
頷くのは癪だけど。
そうね。
飽きっぽい。あたしの。
ずうっと傍にいて。
「そんで、俺にお前は必要」
そして。
その、甘い甘い上手なキスで。
あたしを、あきさせないで。