それは、ある日突然はじまった。
中学二年の繭は、『今日学校休む!』 『はっ?なんで?』繭は無言で布団の中から出て来ない。私は『わかった』父親には『おなか痛いんだって…』と嘘をつく。
繭は、明るくて元気のいい至って普通の女の子。ちょっと元気が良すぎて、学校からは、《はねっかえりもの》と思われている。友達も多く、それだけが自慢で学校を休む事など、考えられなかった。
父親は仕事に行き、繭に事情を聞いてみる。
『どうしたと?』繭はしぶしぶ、布団から顔を出し、『仲間外れにされてるんだ』『うそ!誰に?』『みんな』『なんで?』『わからん』私は愕然とした。自分の娘が仲間外れされているのに、学校に行けなくなるまで気付かなかった事を。
『学校に言ってやろうか?』『やめてよ!』そこで躊躇してしまった私の行動が、繭の人生を壊して行くものとは思いもよらなかった。
不登校は、二週間になりその間父親には、『学校に行けないのは、自分が弱いからだ』とか『学校に行かない奴に飯を食わす必要はない』と、罵倒を繰り返される毎日が続いた。