繭は、携帯を持ってなかった。父親の方針である。
私は、それでは可哀相だと私の携帯でメールする事だけ許可した。 一日中部屋にこもって携帯をいじっている。ある日『友達と遊んでくる』『どこに?誰と?何時に帰る?』『どこでもいいじゃん。うるさい』となかば強引に、出掛けて行った。私は怒りで家中の食器を辺り構わず投げ付けた。それから何時間がたっただろうか?夕日が、割れたコップやグラスに映っている。虚しく一人片付け、終わった頃に気が付いた。繭が帰ってこない。父親に連絡してみる。『繭が帰らないんだけど』『何で家から出したんだ!』反対に怒鳴られる。 仕方なく、携帯に残っているメールの相手を探すしかない。と携帯を見るがどこの誰だかさっぱりわからない。
内容を読んでみた。
学校であったこと、親の対応、今の気持ちが書かれていた。
学校では、誰からも可愛がられ男の子や先輩とも仲が良く本人は気付かないうちに、同性からの標的になっていた。