1日残っていた休日を返上して、融資を依頼していたベンチャー企業・ビートルエージェンシーに出向いたタカシは、担保物件の洗い直しと、借り入れによる効果などを討議していた。
翌日、朝早く出勤したタカシはビートルエージェンシーへの融資計画書を上司に提出した。
「この話は無理だと言っただろ、今更何考えてるんだ」
そう言う上司に強い目で
「課長は何で銀行に就職したんですか?」そう言い放った。
「・・・」
驚いた表情の上司にタカシは続けた
「僕は人のためになる人間になりたいんです、銀行はお金を貸すところですよね、銀行は人の夢を助ける仕事だから、この会社の夢を叶えたいんです。もちろん無謀な計画ではありません、もう一度検討し直してください!僕は銀行マンでありたいんです。金融屋じゃないんです!」
タカシの携帯には新しいストラップにプラスティックが結びつけられていた・・・
一つの言葉・・・聞こえては消え、使い続けては消耗してしまう。
それは人生を築き、振り返るとそこに原点があったりする・・・