平安☆美人の法則!!21

杏奈  2006-11-12投稿
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螢雪が床に短刀を置いたその瞬間、静かに扉が開き、目を凝らしてよく見ると、入ってきた一人の男性の輪郭がぼんやりと、扉の所に浮かんでいます。

螢雪はその人物を見据えると、冷たい瞳をして微笑み、「よく来たな、現帝・宗劉よ。…文どおり一人で来た度胸には敬意を表しよう。しかし姫はまだ還さぬ。いろいろと積もる話もあるからな…。」と冷たい声音で言い放ちました。

するとゆっくりと歩み寄ってきた帝は、開口一番、「姫、ご無事で良かった…。それから…貴様!宗劉兄上はどこだ!文を読んで、まさかとは思ったが、兄上が生きていらっしゃるのか!?…しかしなぜお前のような盗賊がここに?盗賊風情が、兄上のために建てられたこの壱の宮に、なぜ居るのだ!?はやく兄上に会わせろ!さもなくばお前を刑に処すぞ!」と、螢雪を睨みつけ、怒りを隠せない様子で言いました。

その帝の言葉に対し、螢雪は、さらに冷たく笑ってこう言いました。

「…なぜだと?心外だな。ここは元々私の宮だ。私がいて何がおかしい?…だからお前は馬鹿だというのだ、劉嘉。たった10年で実兄の声も顔も忘れるとはな。それに、やはりお前に政は任せられない。右大臣家に良いように動かされ、民が悪政に苦しんでいるのにも気付かない。それでもお前が『宗劉』に次ぐ『劉嘉』の名を戴けたのは、私の補佐としてなら力を発揮できると、先帝が考えたからだ。それを愚かな右大臣が邪魔しおって…。」

帝はそれを聞いて、「…は?何…?今…私を…劉嘉と呼んだ…?まさか…本当にお前が…貴方が…兄上…!?まさか…!」とひどく混乱した様子でした。

そして、混乱している帝に向かって、螢雪はさらに、「お前には悪いが、宗劉は二人もいらぬ。それにしても狡猾な右大臣め…私を追放しただけでは飽き足らず、挙げ句私の幼名・螢雪という名をゴロツキに名乗らせ、盗賊団をでっち上げた。ご丁寧にも私の痣印を模した刺青をさせてな。お陰でもし今宮廷に戻ったなら、私はたちまち罪人として捕えられてしまうだろう。ああ忌々しい…。本当の罪人は右大臣本人だというのに。」と、姫も思わず「えぇ!?」と叫んでしまうほどの真実を、サラリと告げたのでした。

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