之秀『オトモダチノ心配よりヨォ、自分のシンパイしたらどうだ?』
え?
全身が心臓になってしまったような鼓動。
博一『…之秀兄さん…そりゃ…』
俺も殺されちゃうってこと?
身動き一つ取れない。
体が硬直してしまい、動いてくれない。
え?なんで?
之秀兄さんは石倉家に恨みがあるだけ…俺や貴博が殺される道理なんてないだろ…?
之秀『博一…オマエ、なんでイシクラんとこのクソ娘と一緒にインダヨ?ナカイイのか?』
地に伏せていた頭をゆっくりあげ、之秀兄さんを見上げる。
破れたマスクから之秀兄さんの目が見えた。
大きく見開かれ、ギラギラと血走り、血管が浮いてみえた。
之秀『お前もアイツと同類だ。博一』
ボチュッ
ヘドロの中に勢い良く腕を突っ込んだような音が聞こえた。
それと同時に、右目の視界が赤く染まった。
左目の視界がチカチカして良く見えない。
博一『あ、あれ?』
何が…起こったんだ?
右目が痛い。
右目と言うより…その奥、頭の中かな…?
痛みが増してゆく。
たまらず手で右目を拭おうとした。
ん?なんか堅い…木だろうか?それが目に刺さってる…。
え?刺さってるって……!
博一『…あ、あぁぁぁぁ!!』
右目に木刀が刺さっている!
痛い痛い痛い。
頭の中にはそれしかなかった。
之秀『ひゅぅー!イタソウダネェヒァハハァハァヒャ!!』
之秀『サキッポしかハイらねぇな…キリガワリィ!中途半端ハ嫌いナンデネ!押し込んでやるかぁ!』
博一『あがぁぁ!あぁぁ!』
之秀『安心シロォ、すぐラクニなるさ!多分』
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!
之秀『セーのっ!』
目の前が赤黒くなった。
同時に何が砕ける音がして
自分の顔から聞こえた音だと気付きながらも、博一にはどうすることも出来なかった。