あの朝、別れを告げたのは僕の方だったのに、なぜか別れを認められずにいた。
「ちゃんと仕事行った?」
「サザンの新曲いぃね。カラオケ行こう」
「家帰った?金八先生始まるよ。」
あの人の部屋を出て、何だか心配で、朝から一日中メールをした。だけど、あの人からの返事はなかった。
「僕だって、離れたくないよ。」
「まだ、11月だよ。あと一ヶ月は一緒だよ」
メールを打っては消し、また打った。繰り返す内、どんな言葉も伝えたい思いとは違う気がした。
わかったのは、どれだけ自分が身勝手な男か、あの人をどれだけ傷つけてきたかという事だった。
ふったのは僕の方なのに、無償に悲しくなった…。
こんなふうに、メールもこなくなって、電話して声も聞けなくて、会えなくて、感じれなくなる事が、あの人と離れる事なんだ。
本当は悲しいのは僕だけなのかもしれない。他に好きな人があの人にはいたのかもしれない。はじめから、僕とは遊びだったのかもしれない。