「朝よ、起きなさ〜い!」
いつものように母が一階から大きな声で少年を起こした。
少年は目をこすりながらテーブルにつき朝食を食べ始めた。
今日も、朝からテレビが騒がしい。
「…今朝、K市の河川敷で発見された殺害された男性の死体の身柄は以前発見されてはおりません。」
「また、この一連の犯行は大獄魔鬼人となのる男の犯行かもわかっておりません。」
まただ。
どんなに頑張っても警察見つけられないんだよ。
そう少年は思った。
しかも現実で起こっているこの
大獄魔鬼人と警察の戦い、推理ドラマなんかよりも面白い。
少年は前からこの報道を楽しむようになっていた。
朝食を食べ終えると、いつも通りに学校へ登校した。
「いってらっしゃい。」
母がそう言い、少し微笑みながら続けた。
「…あと…お父さんのことはくれぐれも誰にも伝えちゃだめよ。ニュースでは大獄魔鬼人って人のせいになってるんだから。いい?…いってらっしゃい。」
少年は軽く首を縦にふるとゆっくりと学校に歩を進めた。
少年が登校したあと母は数分の間、テーブルで頭を抱えていた。
これからどうなるの?バレないの?私はほんとにこれでいいの?
すべて少年がしたこととはいえ、それを黙っている私も同犯だわ…
今朝河川敷で発見された男性の死体。
身元がわかっていないのは顔が判別がつかないくらい殴られたためだ。
そう父である。
昨日は母と父の結婚記念日だったようだ。
母の心境は複雑だった。
かつて程の愛がなかったとはいえ、一度は愛した男を自分の息子に殺される…
世も末、母は考えるのがたまらなくつらくなり寝室へと向かった。
母は仕事を休みその後を考えた。
久しぶりにたっぷりと母は睡眠をとった。
太陽が沈み、街灯がかすかに照らすこの道を少年はいつものように歩いていた。
家の庭から見ると部屋は暗かった。
母はどうやら帰ってきてないようだ。
少年は家のカギを開けた。
ガチャン。
家のカギがかかってなかったみたいだ。
もう一度カギを差し込み家のドアを開けた。
部屋の電気をつけると、今朝食べた朝食の食器がそのままになっていた。
夕食の支度はしてない。
少年はインスタントのラーメンを食べた。
そのままリビングの電気はつけたまま自分の部屋に向かった。