ノスタル爺  2006-11-14投稿
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雨が降った

アスファルトは濡れてないのだが

頬は濡れている

「雨…か…?」

あかね空を見ると雨は降っていない

「雨なんか降っていない…?」

だが頬で濡れる雨は降り止まなかった

それどころかどんどん本降りになっていく

すぐにでも雨宿りしたかったが

横に居る黒い喪服を着た男が止めた

よくみると男の頬も濡れている

―なぜ喪服を着ているんだ…?なぜ俺を止めるんだ…?

様々な疑問が思い浮かぶ
周りを見渡すと喪服姿のしかいなかった

―なぜこいつらは喪服を着ているんだ…?

唐突に新たな感情が生まれた

―会いたい…

誰に会いたいかはわからないのだが会いたいという感情が生まれた

―誰に会いたいんだ…?

また新たな疑問が思い浮かぶ

周りを見渡すと今はもう自分を止める喪服の男しかいなかった

「なぁ…俺は誰に会いたいんだ…?」

俺は喪服の男に問う

男は黙ったまま前にある箱を指差す

箱には一面に花があり

花の中で眠っている女性が居る

「やっと会えた…」

俺はそう呟いた

空を見ると目に水が滲む

「あぁそうか…俺はこの人に会いたかったんだ…」

喪服の男に話す

「あぁ…そうだよ…だが生きていたらもっと会いたかったんだろうな…」

後ろで喪服の男が声をあげた

―生きていたら…?

「あぁ…そうか…死んだんだ…」

雨は止もうとしなかった

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