?心の葛藤

亜樹  2006-11-14投稿
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34歳に成る男は、静かな夕暮れの一時を窓越しに、次第に暗く成る山々の緑を見つめていた。

男は、未だ独り暮らしなので、今は時間や家族に振り回される事は無いのだ。

真っ赤に燃えた太陽が泉ヶ岳に沈んだ。

「たいぶ、太陽の沈む位置が南に成ったな」

崖淵に建つ郊外の一軒家。
ふと、後ろに、嫌な気配を感じたのだった。
「誰だ!」

振り返ると、誰も居ない。

「疲れかなぁ、確かに誰か居た感じがしたんだかなぁ」

なぁに、私は居ますよ此処に…

「えっ!」

男は、廻りを、恐々見渡したが、誰も見えない。

「貴方には見えないんです…
私は、貴方の本心其のものなんですから」

私の本心って…
私は、偽っている訳では無いし、なんなんだろうか。

男の答えに、本心成る者が答えた。

「結婚したら良いよ」

そんなもんかな。

そんな、感じがしたのだった。
誰か、久しい友人に相談しても、何か、答えを出してくれても、その気に成っただろうか

男は、沈んだ夕日の後の暗闇に目をやり考えた。

自分で出せない答えを自分の心が教えてくれんだ。


感謝の気持ちで、夜の剣道の稽古に向かい、助教の女性に、夕食の誘いを入れてみた。

彼女の顔は、薔薇の様な微笑みを浮かべた。
人間には、不思議な力が備わって居るな、とチョット楽しい気分に成った。



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