昔から、人間は文明を築き上げてきた。
そのためには、自然を破壊することも厭わず、数多くの施設が建てられ、多岐にわたる研究が続けられてきた。
そのおかげか、技術、特に科学技術とバイオテクノロジーが、急速に進歩していった。
しかし、全てがうまくいくわけがなく、やがて世界の行く末を大きく変える事件が起こる。
ある施設の研究室から、繁殖能力と強力な毒性を有する少量の細菌―DP109―が、外に漏れてしまったのである。
すぐにこのことは全世界に知らされた。
幸い、外に漏れた量と繁殖速度を考えると、あと二か月は被害は出ないということであった。
しかし、相手は繁殖能力をもち猛毒の細菌であるため、回収も殲滅も絶対不可能。
そこで、数十年前から進められてきた、ある計画が実行されることになった。
その計画とは、空中と海中に多数の都市を設置する、というものである。
既に都市自体は完成していたので、人々は各都市に移った。
そして、事件から一か月後、それぞれの都市が、海に沈められ、空に打ち上げられた。
この、世界規模のバイオハザードを、人々は恐怖するも、人間の奢りでもあるという意味を込めてこう呼んだ。
Foolish civilization
愚かな文明と……