『こんな姿で発見されたってわけだよ』
「へ…へぇ…」
「一見ただの火傷ですし、解剖しても何も出てきませんでしたが…これを見てください」
ポプリは白衣の胸ポケットから一枚の写真を取り出した。
「これはメリード星が誇る高性能カメラで被害者の火傷跡を撮ったものです。」
「このカメラでなら磁力・赤外線・紫外線等々、何でも撮ることが可能です!ちなみに発明者は私、ミジコであるという事をお忘れなく!」
自慢気にミジコが付け足す。
「……それで本題に戻りますが、この写真をご覧になって下さい」
写真には被害者の腕…今コウ達の前に垂れ下がっているものが写っていた。
「あれ…?」
そこに写っている腕には、何か不気味な模様がびっしりと刻み込まれていた。
「驚いたでしょう、文字のようにも見えますが…詳細は不明です。カメラを磁力センサーモードにした時にのみこのように薄くですが写りこみましたの。本当に何なのかしら…やだ、何かワクワクしてきちゃったわ」
コウはチラリとポプリを見た。
「あの〜さっきから気になってたんだけど…ポプリさんが解剖したの?」
「…申し遅れましたわね。“死体解剖班最高責任者”のポプリですわ。」
『彼女の解剖技術は凄いんだよ〜!』
「…そうですかい」
コウは再度、布からこぼれた死体の腕を見た。
「コウ、大丈夫?顔色悪いよ」
「え?ああ…」
コウの心に一つ引っかかる事があった。この光景、前にも見たような気がする。
…そうだ、10年前だ……病院で寝かされていた父と妹の死体…
二人の死体にすがって泣く母。その拍子に父の腕がシーツからこぼれた。
その時に見た父の腕と、全く同じなんだ。
『彼は宇宙のHMPエリアを調査していたんだけど…』
「…そこに行けって言うんだな?」
『うん…とりあえず今日は休んでもらうよ』
「分かった…テシとテチは大丈夫か?」
コウは二人の方を向いた。
「僕も大丈夫!明日行けるよ!」
「私もだ」
『皆ありがとう…今回の任務はかなり危険を伴うかもしれないよ…』
三人は息を飲んだ。
得体のしれない何かがそこにいるのだろうか。それとも…
「気をつけて下さいね。ご無事を祈っておりますわ」
「ポ、ポ、ポプリ殿、案ずるなかれ、このテシ、必ずや貴方の為に…いや、違っ…」
どちらにしろ三人は逃げるつもりなど無かった。