運命1[さだめ]

夢海  2006-11-15投稿
閲覧数[635] 良い投票[0] 悪い投票[0]

あれは26歳の秋のこと…
足に違和感を感じた私は、病院に行き検査を受け、先生からの言葉に息を呑んだ。
『このままなら、10年後は歩けなくなるよ』
今まで元気な私には考えもつかない言葉だった。バツイチで、娘がいる私は、目の前が真っ暗になった…
『先生!!私、働かなきゃダメなんです!!娘を育てていかなきゃいけないんです!!!』
そう言うと、『そっかぁ、そりゃ大変だね、じゃ手術しないとダメだよ』
先生は、軽い口調で少し笑みを浮かべて言った。
『大丈夫!!任せてくれたら良くなるから!!』
次は強い口調で自信ありげに言った。
『ホントに良くなりますか??働けるようになるんですか?!』
『大丈夫だよ!早く働けるようにならないとね!いつ、する?予約を入れとかないと、足が悪くなるばかりだからね〜』
自宅に帰り親に相談…と言うより報告に近い話し合いをして、大きな病院だから、しょうがないんだと、決断を焦ってしまった。そんな言葉のやり取りだけで、無知な私は手術を決めてしまったのだ。
《早く良くなって働かなきゃ!!》
焦る気持ちでいっぱいだった…しかし、この時の、この決断が最悪な結末を招く結果になるとは……

そして手術の日がやってきた。手術台の上で、裸になり横になって麻酔がうたれ、まな板の鯉の状態で、遠のいていく意識の中に娘の顔が浮かんだ…《これで良くなるんだ!これで良くなるんだ……》

目が覚めた時、激しい痛みが突き抜けた。『痛い〜!!』思わず声が出た。
その時、ガラッとドアが開き、先生が部屋に入ってきた。すかさず、
『成功したよ!無事にすんだから!!2週間は動かすことできないからね!2週間後からは、リハビリだから頑張って』と、言い、すぐに部屋を出ていった。
《これで良くなるんだ!!…この痛みを乗り換えれば、普通の身体になるんだ!!》と、自分に言い聞かせ、この試練に打ち勝つことが最大の喚問だと、歯を食いしばり、明るい未来を信じて頑張ることにした。…この時は、これから起こるまだまだ辛い悲劇も知らずに……
(続)

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 夢海 」さんの小説

もっと見る

エッセイの新着小説

もっと見る

[PR]
本気で盛るなら
Chillax(チラックス)★


▲ページトップ