MORTAL〜カケガエノナイモノ〜第4話

コナタ  2006-11-15投稿
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「・・・・・・。」
「あらあら?図星?・・・図星だわねぇ〜貴方は人を信じることが出来ない。それは、日常生きる上での些細なことならば別。でもね、究極的に、根本的に、もっともラジカルな部分では、貴方は絶対に人を信じない。まぁそれってのは、ずっと一人で生きてきた貴方が、この世の中を生きるための処世術であったのだろうけれど。」
彼女はさも自分が経験したかのように続ける。
「何があっても相談することなんて出来なかったんもんねぇ。両親がいない事で虐められても、人を信じない貴方は誰にも相談できない。自分で解決するしかなかった。そのために強くなった。泣けばそれが弱みになる。以来、貴方は泣くことをやめた。それ故、貴方は他者を敵とみなして生きてきた。・・・嗚呼!なんて敵の多い人生!」
キリカは舞台でも演じるかのように、舞いながら語り続ける。
「まさに、貴方が今しているその笑みも、処世術によるもの。笑ってさえいれば、つけこまれないから。」
「あはは・・・はは・・・何をでたらめを・・・ははは・・・。」
「それ!まさにそれよ!泣けない貴方は笑うことを手に入れた。笑っていれば泣かずにすむから!笑ってさえいれば、笑っていられるのだから!!」
・・・僕はこの人が怖い。この人はいったい何を言っているのだろう。この人はいったい何を言っているのだろう。コノヒトハイッタイナニヲイッテイルノダロウ。どうか、お願いだからこれ以上・・・
「でもね、安心して。後三日で貴方は死んでしまうのだから。死して初めて貴方はカタルシスの何たるかを知るのよ。・・・死神ってものはね、残り三日丁度になると本人の目の前で死の宣告をするの。まぁもっとも、たいていの人は見えないのだけれど。・・・さぁそろそろ貴方の死の宣告よ。」
そう言い、彼女は僕を指指し宣告する。僕の悲劇を。僕の喜劇を。
「柊 彼方。18歳。2008年3月3日午後17時28分。死亡。」

・・・僕の、救いのない物語が始まる。

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