「ポーッ、ポーッ。シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ――」
遂に動き出した
あちこちで子供の歓声が聞こえる
蒸気の音が鼓膜をふるわせ、
レールと車輪のまさつ音はこげ茶色の木目から
革靴を伝い、私の指先までふるわせてい
る
私はこれを芝居が始まる前に、暗幕が左右に
するする動いていく様子と重ね合わせてみた
到着の時分はまだ当分来ない
「
ゆっくりお休み」と私の中の眠りフクロウが優しくいった