青き空に浮かぶ白い雲  5

Mikko  2006-11-15投稿
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眼を開けても暗闇。

眼を閉じても暗闇。

目覚まし時計を手にとって見ると、

午前三時だった。


眠れなかった。



隣を見ると、愁がこっちに背中を向けて寝ていた。

規則的に聞こえる寝息が、暗闇の中に微かに響く。



「愁…。」

なんとなく呼んでみた。

「…」

当たり前だけど、無言だった。

私には、月に1,2回、こんな風に眠れない日が
あった。

原因はわからないが、不規則に起こるので、何の治療の施しようも無かった。

「愁…。」

分かっているのに、呼ばずにいられなかった。

暗闇が、怖い。


無理やり目をつぶっていると、手に温かいものが触れた。

それは、愁の手だった。

「愁…?」

眼を開けると愁の顔が、目の前にあった。

寝ぼけているのか、起きているのか。

しばらくじっと見ていると、愁が笑った。


「起きてんじゃん。」

私が笑って言う。

「…人の顔ずっと見てんなよ。」

ゆっくり目を開けて、私を見る。


「ぁーあ。寝ぼけてだったら愛の力だとおもってたのに。」

ふざけて言ってみる。
だって、ふざけてでもいないと涙が出そうだったから。

本当は嬉しくて、嬉しくて、飛びつきたいほどだった。

「あんだと?せっかく人が起きてやったってのに。じゃあいいよ。一人で寝ろ。」


愁がそう言ってまた私に背を向ける。
私は慌てて謝る。

「嘘!ゴメンなさい!!一緒に寝てください!」

しばらく静寂が流れる。

もう、寝ちゃったのか…。

せっかく起きてくれたのに。

涙が出そうになるのをこらえながら、愁に背を向けようとした、その時。

強い力が私の腕を引っ張った。


気づくと、愁の顔がさっきよりも近くにあった。


唇に何かが触れる。




しばらくして、愁の顔と唇に触れていたものが

同時に離れた。


私はただ驚いて、目を見開いているだけだった。

愁がにっ、っと笑って私を見る。


「お返しだし。」


そういって、私の手を握って、また、眠りについた。

私は、握られた手を、さらにぎゅっと握って、


愁の近くにある寝顔を見た。

愛しくて、愛しくてしょうがなかった。


私は、たっぷりと目の前の彼を見てから、

ゆっくりと目を閉じた。






少しすると、不思議と眠気がきて、


私は眠りについた。










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