沈黙。しかしその一瞬後沈黙は男共の下卑た笑い声にかき消された。
「がはははは!私を守れだ?寝呆けたことをぬかすなら今夜一晩明かした後にいくらでも言わせてやるぞ」「なっ…この恥知らず!」少女は一瞬俯いたが、またすぐに男達を睨み付けた。
「あなた達にはもう用はありません。この店に腕利きがいるって聞いていたけど、こんなゴロツキしかいない所だとはね…」
「なんだと?」
男はその侮辱を聞き逃さなかった。少女を舐めるようにじっとりと眺め、ひび割れた唇を歪ませ、開いた。
「やっちまえ」
男二人が少女の腕を押さえ付ける。無防備になった少女は身動きを封じられ目に不安を浮かべている。そこに男は容赦なく屈辱的な言葉を投げ掛けた。
「持ち物を調べてやる。それと、服の中になにか隠していないかもな」
「や…やめなさい!」
持ち物をまさぐる手を凝視し、その後を想像しているのだろうか。少女の顔は凍り付き膝が笑っている。
英雄が現れたのは、その時だった。
「もうやめないか」
その二つの声は完全に一つに重なっていた。